30代未経験からIT営業に転職:専門用語がわからない壁をどう乗り越えたか

転職

転職には、どんな場面でも不安がつきものですが、とりわけIT業界への転職を考えるとき、「専門用語についていけるだろうか?」という心配を抱く人も多いのではないでしょうか。かく言う私も、30代で未経験からIT営業に挑戦する際、まさに同じ不安を抱えていました。

30代で未経験からIT業界の営業職に転職しました。新しい職場で最初にぶつかった壁…それは「IT業界の専門用語がまったくわからない」という負担でした。経験も基礎知識もないまま飛び込んだIT業界。初日から「SaaS」「クラウド」「リード」「KPI」などの言葉が飛び交い、その他にも「オンプレミス」「インフラ」など、毎日のように新たな専門用語が発生し、頭の中は「いったい何のことを話しているんだろう?」とパニック状態。会話に付いていけず、凹んでしまうほどの衝撃を受けました。

初めてぶつかった「用語の壁」

転職を決意し、IT企業で働き始めた初日のこと。新人向けオリエンテーションでいきなり聞き慣れない単語が連発しました。たとえば「私たちのビジネスはサービスとしてSaaS形態で提供しています」「現在のリード収集のKPIを達成できているか確認しましょう」など、聞き慣れない言葉のシャワーが漂っていました。何を意味するのか根本的な部分から分からず、内容もおぼつかないまま「これで仕事になるのだろうか」と不安が頭をよぎりました。

経験がある人には当たり前のIT用語も、私にとってはほぼ全て新しい「別の語層」に聞こえました。前職でもPCを使う業務はありましたが、ITサービス企業の天下で飛び交う単語の敵の多さに、視界が暴風雨になる思いでした。「これで本当に30代からのIT業界転職をやっていけるのか?」と自問せざるを得ないほどです。

「自分だけが分かっていない」と感じた無力感と焦り

新人期の初めの頃は、任された任務をこなすだけで手いっぱいでした。しかし、任務をこなしていればいいというものではありません。仕事中の会話を理解しなくてはIT営業は務まりません。わからない用語が出るたびにスマホをこっそり取って調べる日々が続きましたが、それでもまだ「何とかなるレベル」に達しているとは言えず、心は焦るばかり。帰宅する頃には毎日ぐったりで、「自分は何をやっているんだろう」と落ち込む日もあったほどでした。夜には聞き慣れない用語が夢にまで出てきたこともあるほどです。やがて、「自分だけが分かっていないのでは」という自責の気持ちが強くなっていきました。

社内会議でも「このプロダクトはクラウドで提供するから…」などとIT専門用語が飛び交う話についていけず、周りは承知の顔でうなずく中、自分だけが理解できていない気がしました。「なんて無知なんだ」と自分の学びの遅さを恨めしくなります。原因や背景が分からないと質問すらできず、無力感でいっぱいです。次第に心配と自身の自責を抱え、「転職したこと自体が間違いだったのかも」と心が折れかけたこともありました。

そんな中、ある日チームメンバーが「ここの意味分かる?」と一言、ハッとしました。自分の折れそうな顔を見て、先輩が壁にぶつかっている事に気付いてくれたのです。チームでは常識的な事でも、私のような新人にとっては難しいこと。その先輩は「わからないことは直接聞いていいよ。みんな最初は同じだから大丈夫」と、自身の新人時代の苦労も述べてくれました。その一言は心に刺さり、抱えていた不安が一気に消えたのを覚えています。「わからないことは聞いていい」、その単純で常識的なマインドが私の死んでいたやる気を元気づけてくれました。

専門用語の壁を乗り越えるために実践したこと

ようやく心の負担が軽くなったとはいえ、日々の業務ではIT専門用語が次から次へと飛び出します。これからは自分の努力でその壁を乗り越えなければなりません。以下に、私が実践して特に効果があった3つの方法を挙げます。

  • 基礎の知識を積む: まずは基礎的なIT用語やビジネス用語を調べ、理解を深めることから始めました。例えば、IT用語辞典サイト(e-Wordsなど)や公式グロッサリーを活用して、基本的な用語の意味や背景を学んでいきました。それまでは単にカタカナに聴こえていた「SaaS」や「クラウド」といった単語も、「Software as a Service」や「インフラでのサービス提供」といった概念を追ううちに、すっきり腑に落ちました。また、営業で一般的に使われる「リード」は見込み顧客を指し、「KPI」は目標の達成度を表す指標を意味します。こうした用語も一つずつ意味を把握していきました。さらにITパスポートや基本情報技術者などの試験受験を検討し、定期的に勉強する目標を作ったことも意識を高める助けになりました。基礎に時間を投資することで、IT専門用語も単純な単語集ではなく、ビジネスの流れの一部として細部まで理解できるようになりました。
  • 近くの人に聞く勇気を持つ: 分からないことをそのままにせず、先輩や同僚に質問する事を心がけました。初めは「こんなことを聞いたら変に思われるかも…」と躊躇していましたが、慎重に自分なりに調べた上で「XXという意味で合っていますか?」と聞いてみると、みんな意外と普通に教えてくれる事が分かりました。むしろ「よく会話に引き戻ってくれた」と感謝された事もあります。実際に、「クラウドとオンプレミスの違いが気になっているのですが、クラウドはインターネット経由でサービスを提供するという理解で合っていますか」と尋ねた際には、先輩が要点を噛み砕いて説明してくれました。何より、質問することで「知らないことをそのままにしない」勇気を自分に与えられました。
  • メモを活用し、自分の辞書を作る: 会議や社内チャットで出てきた新しい単語や知識はすぐさまメモを取る習慣を付けました。最初はノートに簡単に書き流し、後でPCに超記して一緒に学んだ各種言葉の意味を補完し、コメントも追加しました。これを続けるうちに自分だけの「IT用語辞書」ができ上がり、後から学習に戻って振り返るのも容易になりました。また、メモを取る過程自体が記憶に残りやすく、後になっても「どうやって覚えたのだっけ」とならずに済みます。

これらの取り組みを地道に繰り返していくうちに、入社から数ヶ月経つ頃には、会議で専門用語が飛び出してもひとつひとつ理解しながら追えるようになり、慌てふためいていた自分にも少しずつ余裕が生まれてきました。

やってよかった習慣とマインドの変化

新しい環境に慣れてくると、心に余裕が生まれ、自分から勉強を習慣化できるようになってきました。私が実践して効果的だった習慣や工夫をいくつか紹介します。

  • ITニュースに日々目を通す: 通勤時間などを活用し、最新の業界動向や専門用語に触れる習慣を付けました。例えば、ITニュースで得た知識のおかげでお客様との会話にスムーズに入れた体験もあり、小さな自信に繋がりました。
  • その日の学びをノートに整理: 終業後にその日出会った新しい用語や知識を自分の言葉でノートにまとめ、理解を定着させました。最初はノートに簡単に書き流し、後から清書し直すことで知識が体系化されます。
  • 資格取得の勉強を続ける: ITパスポートなど基礎的な資格の勉強を習慣にすることで、広い視野の知識と自信を得ました。資格の勉強を通じて断片的だった知識が繋がり、日々の業務理解が深まったと感じます。

また、日々の業務をこなしながらも、そもそもなぜIT業界への転職を決めたのかを思い返すことで、自分のモチベーションを維持できました。

私がIT業界へ踏み出したのは、イノベーションや成長を求めたからです。分からない事が多いというのは、捉え方を変えれば「それだけ成長の余地がある」ということでもあります。最初は不安だらけだったIT転職でしたが、普通に働いているだけでも、「30代からでもまだ選択肢は沢山ある」ことを実感しはじめました。また、前職までの人生で積み上げた経験やスキルは、IT業界でも活かせる場面があり、決して無駄にはならないことも分かりました。

何より、「新しいことを学ぶのが楽しい」という性格は、エンジニアでなくてもIT業界で頑張る上で有力な武器になりました。全く分からなかった用語を自分のものにできたとき、それが目に見える成長となり自信に繋がりました。

未経験者に伝えたい『続けるための考え方』

転職を成功させ、未経験からIT営業として長く続けていくために、私が大切だと感じた考え方を四つ挙げます。

  1. 分からない用語は必ずメモして後で調べる: 聞き流しにせず、一つ一つ自分の知識として取り込んでいくことが大切です。
  2. 遠慮せず周囲に質問する: 分からないままにせず、早めに質問して解決していきましょう。自分が学ぼうとする姿勢を見せれば、周りは必ず手を貸してくれます。
  3. 新しい知識の習得を楽しむ: 知らない事を学ぶ過程を楽しめば、自然と精神力も続きます。「成長できている」感覚が自信を育みます。
  4. 30代で積み上げてきた経験を活かす: これまでの仕事で培ったコミュニケーション力や業界外の視点は、IT営業でも強みになります。私自身、前職で培った顧客折衝スキルが現在の提案活動で信頼関係構築に役立った場面もありました。未経験でも、あなたにしか出せない価値があるはずです。

気がつけば、かつて意味が分からなかった「SaaS」や「クラウド」といった用語も、今では前提知識として自然に口に出てきます。仕事も難なくこなせるようになり、自分でも驚くほどの成長を実感できました。最近では、新たに入社した後輩から「SaaSって何ですか?」と話を振られる場面もありました。かつての自分と重ね合わせ、いま専門用語を噛み砕いて教える側に立っていることが不思議です。あの時、勇気をだしてIT業界へ飛び込んでよかったと心から思います。この記事が、同じように挑戦を考えるあなたの新たな一歩を踏み出す勇気になれば幸いです。


おわりに

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
このnoteが、少しでも誰かの勇気や参考になれば本当に嬉しいです。

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