はじめに|未経験転職、“観察と模倣”からすべてが始まった
30代で、異業種・未経験からIT営業に転職。
それは、地図のない山道をいきなり登り始めるような感覚でした。
これまで培ってきた営業経験は、用語も文化も違うこの業界ではほぼ通用せず。商談中も社内会議も、まるで“別言語”で話しているような感覚に襲われました。
正直、何度も「この選択、間違ってたんじゃないか」と思いました。
そんな自分を支えてくれたのは、同じ現場で活躍していた“先輩たちの動き”でした。
マニュアルでは語られない細かい所作、資料の組み方、言い回し、空気の作り方──
ひとつひとつの動きに理由と再現性があることに気づいてから、私は彼らの“観察と模倣”を日課にするようになったのです。
「考えるより、まず真似しよう」
その決断が、未経験だった私にとって最初の突破口になりました。
この記事では、私が実際に“先輩の背中”から盗んだ7つの仕事術を紹介します。
すべて実践済み。未経験者目線で、明日から再現できる方法でお伝えします。
1|商談冒頭で“目的”を明確にする
未経験者が最も不安を感じるのは、「商談で何をどう話していいか分からない」ことです。
私も転職して最初の3ヶ月は、商談の冒頭でいきなり自己紹介をして、相手が何を求めているのか探りながら話していました。
そんなある日、同席した先輩のひと言に衝撃を受けました。
「本日は〇〇という目的で30分ほどお時間いただいています。まずはその背景からご説明してもよろしいですか?」
この一言だけで、空気がガラッと変わったんです。
- 相手が安心して話を聞ける
- 主導権を自然に握れる
- 会話が“目的ドリブン”で進む
私もすぐに真似して、毎回冒頭で目的確認を入れるようにしました。 事前メールにも「打ち合わせの目的とゴール」を添えるようにした結果、相手の理解度や納得感が格段に上がったのを実感しています。
「この人、ちゃんと準備してるな」という信頼感は、冒頭30秒で作れる。未経験こそ取り入れるべき、最強の一手でした。
2|議事録は“30分以内”に送る
ある日、先輩が商談後に「これ、今のうちに送っておくね」と言って議事メモを即送信しているのを見ました。
私はというと、商談が終わると「疲れた〜」と休憩に入り、メモは後回し。結局、当日中に出せず、翌日になって内容があいまいに…。
この差は大きい。
議事録を30分以内に送ると:
- 相手の記憶が鮮明なうちに情報が定着する
- 認識齟齬が起きにくい
- 「スピード感のある営業」として信頼される
私もすぐ真似して、テンプレを作って“即送信”を習慣化しました。 SlackにNotion連携して、毎回同じ構成で送るだけで「仕事が速い人」という評価がつき、周囲からのレスポンスも早くなりました。
3|Slackは“構造と丁寧さ”がすべて
未経験の頃、Slackは苦手意識のかたまりでした。 言葉が軽く見えそうだし、逆に硬すぎても浮く…加減が分からない。
でも先輩の投稿を見て学んだのは、「構造と敬意」でした。
- 件名:【相談】〇〇の進め方について
- 背景:1〜2文で「なぜ聞いているか」
- 要点:箇条書き
- アクション:明確な締め(例:ご確認お願いします)
文章に“地図”があるだけで、読む人の負担が減る。
Slackこそ「読まれる技術」が求められるんだと気づいてから、発信の質が変わりました。
4|比較質問で“引き出す力”を磨く
お客様に「何に困っていますか?」と聞くと、大抵は「特にないですね」か「いろいろありますね…」と曖昧な返事。
でも先輩は、
「AとBだったら、どちらの方が業務負担が大きいですか?」 「半年前と比べて変化があった点って、どの辺でしょう?」
と“比較”の形で質問をしていたんです。
これは目からウロコでした。 比較形式にするだけで、相手は「考えやすくなる」。 結果、会話の中に“具体性”と“温度感”が出てくる。
以降は商談に1つは“比較質問”を仕込むようにしています。
5|雑談はセンスじゃなく“仕込み”で作る
私が「この人すごいな」と思った先輩は、どんな硬いお客様ともスッと打ち解けていました。 その秘訣は、事前仕込みの“雑談ネタ”でした。
- 企業HPのニュース
- 採用ページ
- 業界ニュース
こういった情報を1〜2分で拾っておくだけで、
「御社、最近こんな取り組みされてましたよね」 と自然に入れる。
未経験者にとって、雑談はハードルが高い。 でも“情報で仕込めるもの”だとわかってから、会話が楽になりました。
6|「今すぐ決めない」判断も誠実さのうち
新人の頃、私はお客様に「それ、お願いできますか?」と言われると、つい「大丈夫です!」と即答していました。
でも実際は確認事項だらけで、社内で「なんで勝手に約束したの?」と怒られたことも。
先輩の返しはこうでした:
「ありがとうございます。念のため社内で確認のうえ、明日までにご連絡差し上げますね」
即答しない=不安ではない。 むしろ丁寧で信頼を得る。
“持ち帰る勇気”こそ、未経験が身につけるべき営業力のひとつです。
7|真似して終わりじゃない、“自分の型”ができるまでやる
最初は全部真似でした。
でも3ヶ月経った頃、自然と自分なりの「型」ができてきました。
- 議事録テンプレをNotion+Slack連携に
- 商談目的の“1枚資料”を先出しして共有
- 比較質問を「3択→2択→1択」と段階化
真似→慣れる→応用→改善→型になる
このループをひとつずつ回すことで、“自分のスタイル”ができていったんです。
応用|盗んだ仕事術をどう自分の武器にしたか
- 会議で“先出し”されるようになった(信頼感UP)
- 提案資料の目的が明確→レビュー工数が減った
- Slackで「読みやすい」と褒められた
- 商談での質問が“刺さる”と実感するようになった
未経験でも、観察と模倣で環境は変えられる。
失敗談|盗み方を間違えてすべった瞬間
- 雑談が深すぎて“詮索”になってしまった
- Slackで硬すぎる敬語→距離を感じさせてしまった
- 議事録が詳細すぎて読みづらいと言われた
学び: 盗むときは“距離感”と“空気感”を読み取ることが大事。
チェックリスト|明日から使える盗み仕事術7選
- 商談前、目的とゴールを明確に伝える
- 議事録は30分以内にテンプレで送る
- Slackは構造+敬意で書く
- 雑談ネタは1〜2分で事前仕込み
- 比較質問を1つ仕込んでおく
- 不明点は“持ち帰る勇気”を
- 今日盗んだ動きは明日使ってみる
まとめ|未経験こそ、“盗める人”になろう
30代未経験。 不安もあった。劣等感もあった。
でも、“観察と模倣”から始めることはできた。
そして、その繰り返しが、やがて「自分の仕事術」になる。
真似ることは最短の学び方。 真似た先に、“自分のスタイル”はちゃんと待っている。
「何者でもなかった自分が、少しずつ動き出せた」── その実感こそが、未経験転職の最大の報酬です。
おわりに
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
このnoteが、少しでも誰かの勇気や参考になれば本当に嬉しいです。
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