
30代未経験からIT業界に転職したリアルな経験から、転職前に知っておきたかった“現実”を赤裸々に公開。後悔しない転職のために、読んでほしい超本音記事です。
はじめに。なぜ「現実」をぶっちゃけるのか。
この記事は、転職を考えている30代、特に「未経験からIT業界に挑戦してみたい」と感じている方に向けて書いています。かつての私はまさにそうでした。転職サイトを眺めては「未経験OKって書いてあるし、なんとかなるだろう」「30代でもいけるかも」といった気持ちで転職を決意しました。勢いだけで応募して、どうにか内定をもらい、晴れて新しいキャリアを踏み出したつもりでした。しかし、いざ入社してからが本当の勝負でした。現場に立ってみると、毎日が予想外の連続で、入社前に思い描いていた“理想の成長ストーリー”はすぐに崩れました。「もっと前に、誰かがこの“現実”を教えてくれていたら…」と本気で思ったのです。
この記事では、そのリアルな現実を、良いことも悪いことも含めて正直にお伝えします。決して転職を否定したいわけではありませんし、挑戦を止めたいわけでもありません。でも、現実を知ったうえで覚悟と準備をしていただければ、結果は大きく変わると信じています。転職は“逃げ”ではなく、“挑戦”です。そのために、今だからこそ言える“本音”を、余すことなくお届けしたいと思います。
現実1。未経験OK=育ててくれる、ではありません。
転職サイトや求人広告では、「未経験歓迎」「研修制度あり」「フォロー体制バッチリ」「成長できる環境です」といった言葉をよく目にします。安心感を与えてくれる言葉ですよね。私も当時はこれらを完全に信じきっていました。入社すれば丁寧に仕事を教えてくれて、半年もすれば一人前として活躍している自分がいる、そう信じていました。
しかし、実際はまったく違っていました。もちろん、企業として「教える意思」があるのは事実だと思いますが、現場は想像以上に忙しく、余裕がないのです。新人一人に手取り足取り付きっきりで指導する時間は、周囲のメンバーにはほとんどありませんでした。
私が体験したのは、「初日の研修=社内ポータルの説明と自己紹介のみ(約90分)」、その後はすぐにチーム配属され、Zoomの打合せに放り込まれる日々です。専門用語が飛び交う中、ただひたすらメモを取ることしかできませんでした。誰かが「こういうときはこうするんだよ」と教えてくれることは、ほとんどありませんでした。
Slackで質問しても、「それ、前回の資料を見れば分かると思うよ」と返されたり、そもそも返答がないこともありました。先輩方も意地悪しているわけではなく、単に手一杯だったのだと思います。だからこそ、「未経験OK=手取り足取り教えてくれる」とは限らないという現実を、転職前に知っておくことはとても大切です。
現実2。プライドを捨てないと何も始まりません。
30代での未経験転職となると、年齢的には「中堅」と見なされることが多く、前職で部下や後輩を持っていた方も多いでしょう。私も、前職では営業チームのリーダー格として動いており、社内での評価も悪くありませんでした。しかし、その経験が転職後にはむしろ足かせになったと感じることが多々ありました。
新しいチームでは、20代の若手が主力として活躍しており、私は“新人”としてゼロから業務を覚える立場でした。知らない用語、ツール、文化。全てが新鮮であり、しかしその新鮮さは“楽しい”というより“怖い”に近かったです。若手メンバーに質問しても、「それって、前提知識あるよね?」と返されて、萎縮してしまうこともありました。
最初の1ヶ月間はプライドが邪魔をして、自分から積極的に動くことができませんでした。でもある時、「今の自分は“裸”なんだ」と思ったのです。肩書も実績も一旦すべてリセットして、ゼロから始めるしかない。そう腹をくくってから、ようやく本当に吸収モードに入ることができました。分からないことは素直に聞く。年下でも気にしない。どんな些細な業務も、まずはやってみる。そうした行動の積み重ねが、信頼に繋がっていったと感じます。
プライドを捨てるのは簡単なことではありません。しかし、30代未経験転職においては、それが最初の“登竜門”です。ここを超えられるかどうかが、その後の成長スピードを大きく左右すると、私は実感しています。
現実3。“教えてくれる人”は誰もいません。
これは精神的にも堪える部分です。もちろん、職場によっては丁寧に教えてくれる方がいるかもしれません。しかし、私のケースでは完全に“自力サバイバル”でした。
社内にはマニュアルやFAQ、ナレッジ資料などが一応揃っていますが、何百ページにもわたり、どこに何が書いてあるのかすぐには分かりませんでした。検索方法も慣れておらず、Slackで質問しても「ナレッジの〇〇に載っていると思いますよ」と軽く返されて、それ以上のフォローはほとんどありませんでした。
業務で使うツールの設定に関するマニュアルが古すぎて、画面が違っているという事態もありました。英語の公式ドキュメントを読み漁り、自分で試行錯誤を重ねて、ようやく設定を完了させた経験もあります。1時間で終わるはずの作業に丸2日かかる、そんなこともざらでした。
未経験者にとって必要なのは“質問力”や“コミュニケーション力”ではありません。“自分でどうにかする力”です。よく「自走力」「主体性」といった言葉が使われますが、本当に求められているのは「誰も助けてくれなくても、やりきる覚悟」だと私は思います。地味で孤独ですが、それが転職成功の鍵になります。
現実4。成果が出るまで、誰も助けてくれません。
これは非常にリアルな話です。入社してすぐ感じたのは、「今の自分は、まるで透明人間のようだ」という感覚でした。チームのミーティングで意見を出しても誰も拾ってくれず、Slackで投稿しても反応がありませんでした。誰かが冷たくしているわけではなく、「この人はまだ何ができるか分からない」という立ち位置で、周囲から様子見されていたのだと思います。
最初の2ヶ月間は、会議の議事録やスケジュール調整が主な業務で、自分の提案や意見が採用されることはありませんでした。上司からも「まずは地道に実績を作っていこう」と言われていましたが、その“実績を作る機会”すら簡単には与えてもらえませんでした。
しかし、ある日、私が作成した顧客向けの提案資料が「これ、よくまとまってるね」と褒められました。それをきっかけに、商談への同席機会が増え、自分が発言できる場面も増えていきました。つまり、「成果が出るまでの自分=空気のような存在」として扱われる覚悟が必要なのです。ただし、ひとつ成果を出した瞬間から、周囲の信頼は一変します。
現実5。成長実感は“半年遅れ”でやってきます。
未経験転職者にとって最も辛いのは、毎日一生懸命働いているにもかかわらず「成長している実感が湧かない」ということではないでしょうか。私も、毎日10時間近く働き、休日にも業務の復習をしていましたが、3ヶ月経っても「何ができるようになったのか」が明確には分かりませんでした。
ところが、ある朝ふと気づいたのです。「昨日、普通に商談で受け答えしていたな」「用語をいちいち調べなくても意味が分かるようになっているな」と。そうした小さな気づきが、半年後に“成長の実感”として現れてきたのです。
成長とは、決して即効性のあるものではありません。30代で未経験転職をした場合、努力は常に“遅れて実る”ものだと理解しておく必要があります。それを知らないと、最初の数ヶ月で「自分には無理かもしれない」と諦めてしまうかもしれません。だからこそ、この現実を転職前に知っておいていただきたいのです。
それでも転職してよかった理由。
ここまで読んで、「やっぱり転職は厳しいんだな…」と思われた方もいるかもしれません。でも、それでも私は心から「転職してよかった」と感じています。その理由は、とてもシンプルです。「自分で人生を動かせた実感」を得ることができたからです。
前職では安定していましたし、仕事内容もある程度慣れていました。でも、「このままでいいのか?」という漠然とした不安をずっと抱えていました。惰性で働き、年数だけが積み重なっていく毎日に、うっすらとした焦りを感じていたのです。
だからこそ、一度ゼロに戻り、自分の可能性を試したかったのです。もちろん、現実は想像以上に厳しく、精神的に追い詰められた日もありました。それでも逃げずにやり切ったことで、「まだ自分にもできることがある」と確信を持てたのです。
未経験で、30代で、何もかもが初めて。そんな状況でも、毎日一歩ずつ前に進めば、ちゃんと景色は変わります。それを実感できたことが、私にとっての最大の成果でした。
まとめ。覚悟と準備が、30代転職を成功に変えます。
30代未経験での転職は、甘くありません。未経験OKと書かれていても、基本は自走前提です。プライドを捨てる覚悟が必要で、誰も教えてくれない中で自分で進む強さが求められます。成果が出るまでは“存在感ゼロ”のように扱われ、努力の成果は半年後にようやく実感できるものです。
それでも、すべてを乗り越えた先に、「人生を自分で動かせる力」が確かに身につきます。だからこそ、私はこの記事で“現実”を正直にお伝えしたかったのです。「転職は最高!人生変わるよ!」と軽く言いたくありませんでした。知っておくべきことを知った上で、それでも一歩踏み出す方が、強くなれると私は信じています。
覚悟があれば、チャンスはあります。準備をすれば、道は開けます。30代でも、未経験でも、まだまだ遅くなんてありません。むしろ今だからこそ、挑戦する価値があります。
筆者プロフィール
だい|30代未経験からIT営業へ転職。
元・電機メーカー営業。
現在はIT企業でDX支援に従事中。
未経験からIT業界に飛び込んだからこそ伝えられる“リアル”を、noteとX(旧Twitter)で発信しています。
Xはこちら→ @dsk810xx


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